使用者には従業員を解雇する権利(解雇権)があります。
(契約社員のように期間を決めて契約していたらいつでも自由にという訳にはいきませんが。)
しかし使用者は、解雇権があるからといって労働基準法の解雇の手続をきちんと踏めば、気に入らない労働者を自由に解雇できるという訳にはいきません。
「私はあなたの顔が気に入らないので来月末で解雇します。」
なんてことは、誰が考えても無効でしょう。
「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効となる」とした判例があります。
いくら権利があっても濫用してはだめなのです。(民法1条3項)
「合理的な理由」とは、
@ 労働者の労務提供の不能や適格性の欠如・喪失(失踪したり、)
A 労働者の規律違反の行為(問題を起こしたり、)
B 経営上の必要性に基づく理由(経営不振による人員削減とか、)
C ユニオンシップ協定に基づく理由
・・・です。(これらも内容・程度によりますが)
合理的理由がないとは、
@ 他の労働者と差別した取扱いのある解雇とか
A 地域的・産業的な労働条件などからかけ離れた非常識な解雇とか
B 個人的理由による解雇とか
C 経営者の嫌がらせによる解雇とか
D 労働者が違反行為を犯していないのに懲罰として行われた解雇とか
E 規則以上に厳しい懲罰としての解雇とか
などが合理的な理由がない解雇として挙げられます。(これらも内容・程度によりますが。)
具体的にみてみると、
@ 不倫を理由に解雇できるでしょうか?
→ 不倫であっても、それが私生活上の問題にとどまるかぎり、会社側がそれを禁止することはできません。
それが公になることで、業務に支障をきたしたり、対外的にも悪影響を及ぼすような場合(具体的な損失を受けた場合)は、解雇その他の制裁の対象とすることができます。
この解雇が合理的な理由に当てはまるかどうかは、その人の立場、仕事内容、会社の業種、取引先との関係など総合的に判断されることになると思います。
A 能力不足を理由に解雇できるでしょうか?
→ 能力不足だからとすぐに解雇するなら認められないでしょう。
配置転換するとかその人の適正能力を見つけてあげる努力をする、能力向上のために教育するなどの過程があって、それでもやはりというのなら合理的な理由として認められる余地が出てきそうです。
B 遅刻が多いことを理由に解雇できるでしょうか?
→ 遅刻は就業規則違反として制裁の対象になり、ひどければ解雇もあり得ます。
でもやはり何回か遅刻が続いたというだけですぐに解雇を持ち出すのは、行き過ぎでしょう。
遅刻が合理的な理由となるのは、日頃から遅刻が多く、それによって業務に支障をきたし、職務怠慢と見られる場合に限られます。
それも、解雇を宣告されるまでに、クリニック側から注意や勧告などが何度か行われ、それにもかかわらず態度が変わらない場合です。
医院 開業【メディカル経営塾】医院開業支援 医科 歯科医院 資金調達 医療法人設立 税理士
医院開業【トップへ戻る!】医院開業支援




