自己資金の出所に注意する!
開業資金の調達方法については、開業後最初の税務調査で必ずといっていいほど質問されます。
すなわち、先生が開業資金として準備した自己資金について、過去の収入や所得から見て妥当な金額かどうかということです。
例えば、
- 勤務医時代のアルバイト収入が申告漏れになっていないか?
- 両親や親戚から贈与された資金ではないか?
など、銀行のマイクロフィルム(10年保存されている)や預金通帳などをもとに、課税上の問題がないかがチェックされます。
従って、自己資金については、勤務医時代の給与などをどのように貯蓄し、または運用してきたかを示す証拠資料を保存し、資金の出所を明確に説明できるようにしておくことが大切です。
具体的には、勤務医時代の源泉徴収票、退職金の源泉徴収票、預貯金の通帳、株式などの売買計算書、不動産などの売買計算書の書類をしっかり保存して、開業の自己資金の出所を明確に説明できるようにしておくことが肝心です。
両親・親族などからの借入には要注意!
開業資金が自己資金だけでは不足する場合、両親や親族などから借り入れを行う場合があります。
両親や親族などからの借り入れだからということで、
「ある時払いの催促なし」
といった状態になっていると、贈与とみなされ、贈与税が課税されることになります。
たとえ、両親からの借入金であっても、銀行などから借り入れる場合と同様、契約書を取り交わしておくようにしてください。
契約書は市販の「金銭消費貸借契約書」を使うこともできます。
金利についても、無利息や低金利で両親から借り入れをした場合、通常の金利との差額について贈与税が課税されることもあります。
ただしその差額が年間110万円までは贈与税の非課税範囲です。
金利は契約時の市場金利を参考にしてください。
また、返済を長く滞っていると、実質は贈与されたものではないかとみなされ贈与税が課税される恐れがありますので、契約書通り返済していくことが大切です。
70歳の親から30年返済の借入契約だといくら長寿化社会といえども無理があります。常識的な期間で借りてください。
なお、貸付した側の税金問題にも注意しましょう。
通常、金銭の貸付けにより利息を受け取った場合は、「雑所得」として確定申告しなければいけません。
貸付側が銀行などから借り入れをして先生に貸付けしている場合(転貸融資という)は、銀行などに支払う利息は経費となります。
したがって、先生に対する貸付金利と銀行などの金利が同一であれば、所得は相殺されるため発生しません。
また、先生と同一生計(先生が両親の生活費を出している)の両親などから借り入れをした場合の支払利息は先生の経費には計上できませんが、受け取った側も所得としないことができます。
ただし、銀行などから両親が融資を受け、それを先生に転貸融資している場合は、両親が銀行などに支払った利息は先生の事業用の経費にすることができます。