未収金の管理
医院の収入は、自費が多い診療科目でなければ、基本的には社保・国保からの入金がメインです。
従って一般企業と違い、貸し倒れる危険性は皆無に等しいので、社保・国保に対するリスク管理は必要ありません。
1.窓口現金(負担金)
未収として問題になるのは、窓口現金です。
財布を忘れた、保険証が使えなくて自費になった、などの場合の未収金管理はあいまいになりがちです。
最近のレセコンは性能がいいので、コンピューター上できちんと管理できれば一番良いのですが、変則的な未収金だと対応できない場合も多いようです。
特に、未収であっても、売上が確定していれば、税金の対象になる売上です。つまり、回収していないのに売上としないといけません。
ですので、未収の管理がしっかりしていないと、税金だけ増えてしまいます。
また、長期間未収の窓口現金も出てくると思いますが、完全に回収不能であれば、貸し倒れとして経費に出来ます。
売上、貸し倒れどちらの場合にも、未収金の管理がしっかりしていないと、経理処理が出来ませんので、面倒ですが未収金帳のような別ノートでの管理が必要です。
2.自賠責、労災
診療科目にもよりますが、整形外科に多い自賠責保険、労災などの未収金の管理も曖昧になりがちです。
これらの未収金は、入金されるまでに、保険会社によって相当の差があったりして、忘れた頃に入金なんていうパターンもあります。
そもそも、請求し忘れていたということもあり得ます。
売上の原則は診療した時点で計上です。
税務調査の時にも、自賠責の計上が漏れていないかは必ずチェックされますので、診療した時点で売上計上出来るように、会計処理をしっかりと行わないといけません。
3.健診、文書料
これらの収入も、毎月発生するわけではなく、売上計上漏れになりやすい項目です。
特に、決算期をまたいで入金される健診などは、必ず診療日での売上計上が必要になりますので、忘れずに処理することが必要です。
4.返戻・再請求
再請求する場合も売上計上の際に気をつけましょう。
通常、返戻された場合、査定減として、売上計上額をマイナス処理します。
その後再請求した際に、再度売上計上するわけですが、売上計上の考え方は、診療した時点です。
当然診療は既に終了しているわけですから、返戻されたとしても、売上に計上する条件は整っているわけです。
以前税務調査で、返戻分のレセプトが担当者の引き出しに入ったまま、再請求されずに残っており、その分について税務署から売上計上漏れを指摘された事がありました。
もちろん再請求しなければ入金もないですので、経営上、請求漏れはあってはならないことです。
対税務署としても返戻分は売上計上漏れとして、指摘されるリスクがあります。
返戻分の請求は忘れずに、速やかに行うことが大事になります。