カルテは見せなきゃいけないの?
税務調査官には、各税法において税務調査の為の質問検査権(調査対象者に質問し、帳簿書類その他の物件を検査する権利)が認められています。
納税者には、質問検査に対する受忍義務があり、違反すると、『1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する』旨の規定がおかれています。
税務調査官の質問検査権は、納税者本人だけでなく、納税者と取引のある第三者や従業員にも及び、それらの者にも受忍義務が課せられます。
しかし質問検査権は犯罪検査権のように、一方的な強制力をもって行使できるものではなく、あくまでも先生がたの同意のもとにおこなわれるべきものです。
かといって理由もなく質問検査権を拒否できません。
カルテの提示を求められたらどうしましょう?
医師は法律によって守秘義務が課されていることから、これをもって調査を拒否する理由とされる先生もいらっしゃいます。
しかしカルテについては、所得税法234条に定める「調査について必要があるときは事業に関する帳簿書類その他の物件」に該当することになります。
(医師の守秘義務に係る書類「カルテ」を検査したこと、調査対象期間以外のカルテを検査したことは違法であるとの納税者の主張につき)
右カルテは「事業に関する帳簿書類その他の物件」に該当し、提示されたカルテを検査したことは適法であり、使用中のカルテを検査したことは当然のことであり、税務職員の合理的な裁量の範囲内である。
(平成元年9.14東京地裁)
上記判例からも患者のプライバシーなど税務申告とは関係ない箇所にはふれないよう取り扱いに十分注意するよう対応を求め、閲覧の趣旨を調査官に求めるようにしましょう。